高岡コロッケ〜夢は揚げたて!富山新聞

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【2006/11/24付】富山新聞掲載

◎社説 〔地域の新名物づくり〕 「高岡コロッケ」を参考に

 石川県の能登町観光協会が、コロッケによる地域おこしを目指す高岡市を視察したように、官民挙げて新名物づくりに取り組む高岡市の手法を近隣地域でも参考にしたい。海、山の幸に恵まれ、伝統的な料理が受け継がれてきた北陸だけに、地元食材を生かした「大衆食」をつくる取り組みが、高岡コロッケを起点に各地に広がってほしい。
 能登町からの一行が、高岡の街を歩き、ホテルで食事をし、道の駅、しょうゆ醸造元にも足を運んだように、「高岡コロッケ」はさまざまな「顔」を持つ。街角で売られる「B級グルメ」、白エビやズワイガニ、甘エビなど地元の食材を使ったレストランのぜいたくな逸品、冷凍技術を用いた土産品としても売り出されている。コロッケに合うソースも開発されている。
 富山県内のコロッケ消費量が全国一という情報に目を止め、新名物として白羽の矢を立てた高岡市の若手職員のひらめきがまず敬服に値しよう。加えて、地域ぐるみでの取り組み、行政のてこ入れがあっての「高岡コロッケ」人気である。石川の「フードピア」、富山で始まる「食の街道づくり」のように、土地でしか味わえぬ飛び切りぜいたくな美味を全国に発信する活動とともに、コロッケのような庶民の味の分野でも「おいしんぼう自慢」ができれば、北陸の食文化に厚みが増そうというものだ。
 能登町が北陸屈指のイカの水揚げ地として知られるように、多くの土地には自慢の食文化があり、それを素材にした地域おこしが試みられている。高岡コロッケから学ぶべきは、食材の活用にとどまらず「全国区」の知名度を得るためのイベント構想やマップ作成などのアイデア戦略であろう。
 ラーメンやギョーザ同様、コロッケによる街おこしも全国で試みられている。大衆食文化だけに、競争相手は多い。名乗りを上げた高岡にしても、地元食材を生かす工夫や知名度を高めるアイデアが絶えず求められる。近隣地域の刺激や手本となる一層の活動を期待したい。富山のマスのすしが全国区の知名度を得たことで、北陸の押しずしの人気を引き上げたという手本も身近にある。