高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(87)

第8部・笑顔ホクホク(7)
給食(下) 食育通じ、すそ野拡大

 高岡市の小中学校で十一月にコロッケ給食が登場する。食育と地産地消の推進が狙いで、六月から保育園で始まっているコロッケ給食を拡大させるものだ。

●冷めてもおいしく
 学校給食に出されるコロッケは、地元の福岡町小野地区で取れたジャガイモをベースに、下関、佐野地区のコマツナを混ぜたものになる。今年度は三回予定しており、来年一月には太田地区のサツマイモ、国吉地区のリンゴを混ぜたコロッケを出す予定だ。市の栄養職員二十二人が、十数種類の試作品の中から二種に絞り込んだ。具材の配合や揚げる温度などの検討を重ね、冷めてもおいしく食べられるように仕上げている。

高岡市の小学校では11月にコロッケ給食が実施され、コロッケのまちづくりがさらに進む=同市内

●1万6千個を配給
 学校給食で一番の課題は、同じ味のものを大量に提供しなければならないことだ。市内に小中学校は三十九校あり、児童生徒に一個ずつコロッケを提供すると約一万六千個となる。保育園とは量が格段に違うため、入念な検討が行われた。市体育保健課で学校給食を担当する藤井裕子主幹は「大量に作ると、予想と実際の出来にずれが出ることもある。地産地消という条件も満たさなければならず、大変でした」と打ち明ける。
 高岡市に先行してコロッケ給食を実施しているのが、茨城県龍ケ崎市だ。龍ケ崎市では、二年前から市商工会女性部が作る「まいんコロッケ」を年三回提供し、人気メニューとして定着している。「まいんコロッケ」は一カ月に約二万個を販売する名物コロッケになっているが、給食で子どもたちに親しまれたことが知名度アップを後押ししたといえる。
 「コロッケのまち」を掲げる龍ケ崎市では月一回、中心市街地で開かれる特産市でコロッケが売られるほか、地元の大学と連携するなど、コロッケを生かしたまちおこしが進んでいる。大竹昇商工振興課長は「給食のおかげでコロッケが身近な存在になったのではないか」と分析する。
 高岡市のコロッケによるまちおこしは、若者たちのちょっとしたアイデアで始まったが、わずか一年余りで高岡の新しい顔として定着した。今月策定された市の新総合基本計画にもコロッケ給食が明記されたほどだ。もっとも、「コロッケのまち」として全国発信するのは、これからが正念場である。今の盛り上がりをより大きなものにするには、これまで以上に官民一体となった取り組みが欠かせない。(おわり)

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