高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(74)

第7部・おいしい出会い(4)
一宮(上) 交通網整備で食の交流

 東海北陸自動車道沿線の自慢の味が、愛知県一宮市に集結した。七月二十七日から三日間にわたって開かれた「能越ひだ濃尾物産フェア」。百三十万人を集める一宮七夕まつりに併せた催しで、高岡コロッケは高山ラーメンやます寿しとともにブースを並べた。来場者の中には高岡コロッケを知っている人もおり、知名度が着実に上がっていることを実感させた。

吹き流しがアーケード街を彩る一宮七夕まつり

●会議所の提携が縁
 高岡コロッケの出店は、高岡商工会議所と一宮商工会議所が昨年、友好提携を結んだ縁で実現した。一宮には東海北陸道の起点となる一宮ジャンクション(JTC)がある。高岡会議所には、来春の東海北陸道全通を契機に、さらに交流を発展させたいとの思いがあった。そこで、物産フェアでは定番の銅器や漆器だけでなく、新名物として高岡コロッケを売り込むことにした。
 東海北陸道で結ばれるとはいえ、一宮での高岡の認知度は高くはない。高岡コロッケの販売を担当したインサイト(高岡市)の松永昭司さんは、全国でも屈指の高岡のコロッケ消費量や、日本三大仏と称される高岡大仏などを説明してPRに努めた。
 インサイトは、道の駅「万葉の里 高岡」で人気商品となっている「大仏コロッケ」など三種類を販売した。しかし、今回は従来の出張販売とは勝手が違った。従来は一日千個以上が売れるのが当たり前だったのが、一宮での初日は五百個程度にとどまったのである。
 物産フェアの会場はアーケード街の一角にある空き店舗だったが、高岡コロッケのブースが一番奥に配置されたことが影響した。これまでは呼び込みの声で客を引きつけ、客が客を呼ぶ相乗効果で販売を伸ばしてきた。しかし、今回は呼び込みの声も来場者になかなか届かず、思うように売り上げを伸ばせなかった。

能越ひだ濃尾物産フェアで高岡コロッケを買い求める来場者=7月28日、愛知県一宮市

●職員が販売に協力
 そんな中、松永さんを感激させたのが一宮商工会議所の協力だった。職員三人がアーケード街に出て、コロッケを売り歩いてくれたのである。おかげで二日目以降、売り上げが上向いた。松永さんは「コロッケが他の地域の人とつながるきっかけになった」と振り返る。
 高岡市では、北陸新幹線の金沢開業を七年後に控えるなど、今後、交通網の整備が進む。コロッケには、県境を越えた交流を促進する役割も期待されている。

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