高岡コロッケ物語(69)
第6部・昼も夜も(9)
サンドイッチ パンにはさみ魅力に厚み
コロッケは、サンドイッチの具材としても人気を呼んでいる。高岡、富山、福井の三市に四店を展開するサンドイッチ専門店「神戸サンド屋」(本部・高岡市広小路)では、約五十種類あるサンドイッチのうち、「コロッケサンド」が毎月の売れ行きで上位五位に入る商品となっている。
コロッケサンドは「肉じゃがコロッケのサンド」と「カボチャコロッケのサンド」、きんぴらごぼうを包んで揚げたコロッケを使った「きんぴらのコロッケサンド」の三種類で、ボリューム感があるのが特徴だ。
●彩り豊かに演出
神戸サンド屋は、一九九五年に富山市で開業したのが始まりだ。社長の早川正一さん(40)が経営コンサルタント会社に勤めていたころ、サンドイッチ店の経営指導にかかわった経験を生かし、当時は県内で珍しかったサンドイッチ専門店を思い立った。野菜や卵、ロースカツ、コロッケをはさんだサンドイッチをショーケースに並べて彩り豊かに演出し、厳選した素材と自家製のマスタードとマヨネーズ、ソースを使う、こだわりが受けて九七年には高岡市に二店目を開いた。
「高岡を全国に発信できる食の名物が登場するのを待っていた」。早川さんの母泰子さん(65)は高岡コロッケに期待を込める。早川さんの家は父久嘉さん(66)の祖父母が高岡市内でうどん店を開業して以来、市内でカレーやラーメン店を経営するなど飲食業にかかわってきた。
●思い入れ強く
JR高岡駅前の地下街で営んでいたラーメン店では、高岡大仏の絵が入ったかまぼこを入れた「大仏ラーメン」を販売し、評判を呼んだ。あわら町に開いたインド料理店「デリーあわら店」でも、富山湾のブリを使ったスープカレーをメニューに入れたことがある。「デリー」は昨年六月、香辛料をきかせた野菜コロッケとチーズコロッケを作るなど、高岡コロッケのキャンペーンに参加しており、食によるまちおこしには思い入れが強い。
秋にはサンドイッチとカレーを味わえる店を開業する予定で、持ち帰りしかできなかったサンドイッチを店内で食べられるようにする予定だ。さまざまな形でコロッケを楽しめる店が増えていけば、コロッケのまち高岡の魅力にさらに厚みが加わるだろう。