高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(58)

第5部・味なまち(8)
高校生会社 商品開発学ぶ教材に

 「コロッケで高岡を盛り上げる活動が進んでいます。地元の高校生として何ができるかを考えてみましょう」。高岡商高の亀永辰之教諭(44)は今月六日、課題研究の授業で三年生に呼び掛けた。模擬株式会社「ラブリーショップりゅうりゅう」のホームページ作りとして、生徒はパソコンを使って思い思いにコロッケのデザインを描いた。

コロッケの商品デザインに取り組む生徒=高岡市の高岡商高

●斬新な提案次々と
 かまぼことチーズを入れたコロッケを提案した油谷美里さん(17)は「変わり種のコロッケを作って、高岡に来てくれる人を増やしたい」と意欲を見せる。旧福岡町特産のコイのすり身を具に入れた「こいころ」、ブリのすり身を入れた「ぶりころっけ」、国吉リンゴとサツマイモで作る「くりきんとんコロッケ」など、地元にちなんだ斬新なコロッケが次々と浮かんだ。
 「ラブリーショップりゅうりゅう」は生徒が会社経営を学ぶことを目的に、二〇〇五年に設立された。全生徒が一人五百円を出資し、社長や副社長、常務などの役員を置くほか、商品開発部、総務部などの部署がある。模擬会社とはいえ、たかおか朝市やステーションデパートに出店するなど、高岡市民になじみの存在になっている。
 高岡にちなんだ独自商品の開発にも意欲的だ。これまでに国宝瑞龍寺や高岡大仏、万葉線をデザインした飴(あめ)のほか、国吉地区特産のリンゴや戸出地区のモモを使ったヨーグルトなどを販売してきた。根底には「高岡の人に長く愛される物をつくりたい」との思いがある。

「たかおか朝市」で商品を販売する生徒=5月27日、高岡市内

●昨年から注目
 実は、「りゅうりゅう」のホームページには、すでに昨年から「高岡コロッケ」が登場していた。卒業生が市内のコロッケを食べ歩いた成果を掲載したのである。もともと瑞龍寺や雨晴海岸などの観光名所、銅器や漆器といった特産品を紹介していたが、流行に敏感な高校生が高岡の新しい顔としてコロッケに着目したのである。
 「高岡を有名にできるようなコロッケを、自分たちの手で作ることができたらうれしい」。こう語る社長の川嶋伸吾君(17)は今後、市場性やコスト、販売形態などを検討していきたいとしている。高校生に広がっていけば、コロッケによるまちおこしはさらに活気づくはずだ。

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