高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(56)

第5部・味なまち(6)
ネクタイ 知名度向上の名脇役に

 「高岡コロッケ」の関連グッズとして登場したネクタイの売れ行きが好調だ。年に百本売れればヒット商品とされる「ご当地ネクタイ」だが、高岡コロッケのネクタイは二月の発売から三カ月で八十本ほどをさばいている。アルファベットを図案化し、光を当てると文字が浮き出る斬新さが受けたとみられ、高岡コロッケの知名度を上げる役割を果たしている。

「高岡コロッケ」の文字をデザインしたネクタイを手にするNANのメンバー=高岡市の道の駅「万葉の里高岡」

●場所を選ばず
 考案したのは高岡市内の若手経営者五人でつくる「NAN」で、高岡コロッケ実行委員会と協力して仕上げた。ショコラブラウン、ルビーレッド、カーボンブラックの三色があり、観光客も多く訪れる同市の道の駅「万葉の里高岡」などで取り扱う。橘慶一郎市長にも贈られ、公務で着ける場面を見かけるようになった。
 購入するのが主に女性であることも、センスの良さを裏付けている。NANのメンバー金子俊英さん(33)は「単に奇抜なデザインでは意味がない。場所を選ばず身に着けられるネクタイでなければ、高岡コロッケをPRするという思いが果たせない」とこだわりを語る。
 NANの一員で、ご当地ネクタイなどを手掛ける「kley」(高岡市)の布原卓也社長(38)は最近、追加注文が舞い込むようになった現状に驚いた。「高岡コロッケの持つ力を感じた。高級感があるデザインと庶民的なコロッケのギャップは飽きがこない」と話し、幅広い世代にアピールするのに最適と分析する。
 評判を聞いて、JR高岡駅地下の洋品店「T・BLUE」では今年四月から、ネクタイとコロッケのソースをセットにした「高岡コロッケあじなギフト」を開発した。一風変わった趣向が関心を呼び、「高岡コロッケはどこで食べられるの」などと問いかけられるようになっている。

「高岡コロッケあじなギフト」を店頭に並べる島さん=高岡市内の洋品店

●魅力がグッズに
 店長の島正範さん(48)は「路面電車と都市の未来を考える会・高岡」の会長を務め、公共交通による中心市街地活性化に知恵を絞る。店の一角は高岡コロッケの紹介役も兼ねるようになった。島さんは「店でコロッケは出せないが、高岡の盛り上げに一役買うことができて良かった」と話す。
 高岡コロッケが持つ魅力が、グッズの開発に結びつく。そのグッズが多くの人の心をとらえれば、「コロッケのまち高岡」をさらに広めることにつながるはずだ。

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