高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(55)

第5部・味なまち(5)
駅前 観光客の反応、予想以上

 JR高岡駅周辺では昨年夏ごろから、観光案内所や交番でコロッケの店について尋ねる観光客が目立ってきた。これまでは瑞龍寺や高岡大仏などの問い合わせが多かっただけに、ちょっとした異変である。富山新聞社などが参加する高岡コロッケ実行委員会が昨年六月に発足して以降、イベントで販売されたり、新聞紙面で取り上げられたことで、「コロッケのまち」としての認知度が高まってきた。

高岡コロッケに関する問い合わせが増えている高岡市の観光案内所=JR高岡駅

●1日に3、4件
 高岡駅にある観光案内所には、高岡コロッケに関する問い合わせが一日に三、四件寄せられている。案内を担当する同市観光協会の山本明美さん(55)は「予想以上の反響に驚いている」と打ち明ける。
 山本さんは昨年夏、観光客から「コロッケのおいしい店を教えてほしい」と初めて聞かれ、どう答えていいか戸惑ったという。当初は案内しようにも資料が少なく、駅周辺の精肉店を紹介するだけだった。しかし、昨年九月に「高岡コロッケマップ」が富山新聞に掲載されると、コピーを窓口に置いて対応するようにした。その後、地図や加盟店の一覧が掲載された情報誌「あげっちゃ」が発行され、県外の人にも分かりやすく教えられるようになった。
 最近、観光客からよく聞かれるのが、札幌市の「ラーメン横丁」のように、コロッケの店が集まる「コロッケ横丁」のような場所がないかとの質問である。山本さんは「横丁があれば観光客は何倍にも増えるのではないか。そうなれば、本当にコロッケのまちになる」と期待を込める。

●交番にもファン
 観光客が高岡コロッケの情報を求めて立ち寄るのは、観光案内所だけではない。高岡署高岡駅前交番にも、道案内を兼ねたコロッケファンが訪れるようになり、「あげっちゃ」を置いて場所を教えるようにしている。今年四月に富山市内の警察署から赴任した所長の朽木善則さん(39)は「高岡コロッケを知る人が増え、町の活性化につながればよい」と話す。
 高岡市観光協会の京田和男事務局長は「高岡観光といえば、瑞龍寺、雨晴海岸などの旧跡や景勝地が中心だったが、高岡コロッケも無視できなくなってきた」と、観光資源として定着してきたことを認める。市が誘客増を図るうえで、高岡コロッケの役割が大きくなっていることは間違いない。

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