高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(54)

第5部・味なまち(4)
ラッピングバス 名物の存在広める役割

 笑顔でコロッケをほお張る子どもが大きく描かれたバスが、高岡市中心街を走る。高岡コロッケのロゴマークなどで彩ったラッピングバスだ。四月に運行が始まって以来、すっかり町に溶け込んだ。市民だけでなく、観光や商用で訪れる人々にも新たな高岡名物の存在を広めている。
 高岡コロッケバスを企画したのは、高岡コロッケ実行委員会である。ラッピングバスは加越能鉄道(高岡市)の路線バス二台を使い、高岡を中心に、富山空港や氷見へ運行されている。色はコロッケを連想させる黄色とオレンジ色を基調としている。

サイトについて話し合うメンバー=高岡市役所

●「街に活気」
 高岡コロッケバスが走り始めると、市民の関心が高まった。通院のため、JR高岡駅前でバスを待っていた七十代の女性は「街に活気が生まれたような気がする。孫なんかはバスが通り過ぎると、喜んで手を振ることもある」と好意的に受け止める。
 加越能鉄道高岡営業所の運転手、菅野富夫さん(48)によれば、乗客から「高岡コロッケって何ですか」と質問されることが増えたという。菅野さんは「特に富山空港を結ぶ路線バスでは必ず聞かれる」と話す。
 質問するのは首都圏から出張で訪れる会社員だ。菅野さんが、コロッケが新しい名物として親しまれていると説明すると、コロッケを食べに高岡に行きたいとの反応もある。
 菅野さんは「高岡コロッケバスが、乗客にコロッケや高岡に対する関心を持たせるきっかけになっている。バスの運行を通じ、まちおこしに微力ながら力になっているとすれば、うれしい」と喜ぶ。

●例のない取り組み
 ギョーザや焼き鳥など、いわゆるB級グルメでまちおこしを図る全国の二十三団体でつくる「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」(愛Bリーグ)の事務局によると、ラッピングバスで食をPRしている例は聞いた事がないとし、「大変面白い取り組み」と関心を寄せる。
 加越能鉄道運行課長の山崎勝さん(46)は「数あるラッピングバスの中でも、注目度が群を抜いて高いのが高岡コロッケバスだ。高岡コロッケの存在感を広く効果的に周知できている」と話す。ユニークなバスが、高岡コロッケのすそ野を広げ、町に元気を与えているようだ。

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