高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(52)

第5部・味なまち(2)
卒業制作 食べ歩きの魅力発信

 JR高岡駅地下街にある「駅地下芸文ギャラリー」で四月下旬、橘慶一郎高岡市長と富大芸術文化学部の学生の意見交換会が開かれた。「コロッケは高岡で誇れるもの。もっと情報がほしい」。学生から橘市長に要望が相次ぎ、「高岡コロッケ」が若い世代に浸透してきたことをうかがわせた。

「高岡コロッケ」を扱う店を紹介する携帯サイトを点検する馬渕さん=富大高岡キャンパス

●携帯サイトで紹介
 富大高岡短大部では、卒業制作の題材に「高岡コロッケ」を取り上げる学生が現れた。専攻科一年で産業デザインを学ぶ馬渕陽子さん(21)で、観光客向けの携帯サイト「タカオカコロッケ TAKE A WALK」を制作したのである。
 サイトにはJR高岡駅周辺の地図上にコロッケ店と、高岡古城公園などの名所が紹介されている。お目当ての店を選ぶと、味の特徴などが表示される仕組みだ。高岡駅前を出発点に、携帯の画面上で地図を上下左右に動かしながら店を探すことで、食べ歩き気分を楽しめる。
 馬渕さんは高松市出身で、小さいころから両親に連れられて実家近くの讃岐うどん店を食べ歩いた経験を持つ。食文化に対する好奇心は旺盛(おうせい)だ。二年前に大学の授業で「高岡コロッケ」の存在を知り、すぐに興味を抱いた。アパートから自転車で高岡駅周辺のコロッケ店に出かけたり、友人と一緒に食べ歩きをするようになった。
 「細い路地にある店を見つけ、揚げたての一品を見つけるのが楽しい。高岡コロッケが広がれば広がるほど、意欲が沸いてくるんです」。馬渕さんにとって、食べ歩きは宝探しに近い感覚だという。

橘市長と高岡について語り合う学生=4月、高岡市の駅地下芸文ギャラリー

●遊び感覚が肝心
 たかおか観光戦略ネットワークの渡辺康洋会長(54)は「コロッケによる町おこしが実を結び、底力を見せ始めている。学生や住民が、いい意味で高岡コロッケを面白がることが大切だ」と話す。地域ブランドとして高岡コロッケを発展させていくには、地元住民が遊び感覚を持つことが肝心なのである。
 観光客がコロッケを手に、高岡古城公園や山町筋、狭い路地をそぞろ歩く。そんな光景があちこちで見られるようになれば、一人一人が宣伝マンとなり、コロッケによるまちおこしが加速するはずである。

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