高岡コロッケ物語

高岡コロッケ物語(36)

第3部・あつあつ談義(6)
商工レストラン社長、中村絢一氏
季節感で魅力に厚み

 数年前、ギョーザで有名な宇都宮市を訪れました。飲食店で出される定食には必ずギョーザが添えられ、全国展開するファミリーレストランも他県にない独自メニューを並べていました。ギョーザなしでの商売はあり得ないような雰囲気が感じられ、まちのイメージを明確に形作っています。「高岡といえばコロッケ」という図式を市民や観光客が描くことができるような催しや宣伝を根気よく続けることが必要です。

商工レストラン社長、中村絢一氏

なかむら・けんいち 高岡商工会議所副会頭。2001年から商工レストラン社長。万葉線を愛する会会長などを務める。69歳。

●街を一色に
 コロッケ横丁を一、二日だけ開催するのではなく、一定期間続けてはどうでしょうか。予算面などで難しいことは承知していますが、一月の日本海高岡なべ祭りで、中心商店街がコロッケを求める人で埋め尽くされた熱気を二日間で終わらせるのはもったいない気がします。
 石川県穴水町で毎年開かれる「カキ祭り」では町内十数店舗が約二カ月にわたり、カキのフルコースを統一価格で提供し、にぎわいにつなげています。同様に高岡でも街を歩けば「コロッケ一色」で、いつでも揚げたての味を楽しめる態勢をつくることが大切です。
 高岡商工ビルにある商工レストランで昨年、ジャガイモ、サトイモ、ツナの三種類が楽しめる一口サイズのコロッケを提供しました。宴会や会合の団体客に勧めることで「高岡コロッケ」の知名度を上げる努力をしています。地元飲食店が連携して新名物として発信していくべきです。イクラを食べるためだけに北海道に足を運ぶ観光客が多いように、食は老若男女を引き付ける力があります。
 ただ、「高岡コロッケ」には季節感がありません。一年間いつ食べても同じ風味では高岡の食として定着するのは難しいでしょう。春には西田地区特産のタケノコを具材にした商品を限定販売するといった趣向を凝らせば、地元食材のPRにつながり、旬の味覚が「高岡コロッケ」の魅力に厚みを加えます。

●行政巻き込め
 高岡には国宝瑞龍寺など観光資源が多い一方、高岡らしさを感じさせる食文化が少ないと感じています。飲食店や行政を巻き込みながら、コロッケを高岡の食文化に育て上げるため、一役買いたいと思っています。

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