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高岡コロッケを題材にデザイン戦略について考えてもらおうと、「コロッケ学会」の会長でインテリアデザイナーの長岡貞夫氏=東京都在住=を招いた講義「デザインとコロッケ」が五日、高岡市の富大高岡キャンパスで開かれた。学生らが高岡コロッケの発信で知恵を出し合うきっかけにする試みで、聴講した約四十人が長岡氏とともにコロッケを揚げ、出来たての味を楽しむなどして、まちおこしにつながるデザインのあり方について思いを巡らせた。
講義は、同大芸術文化学部と高岡コロッケ実行委員会が企画した。家具デザインを専門とする同学部の丸谷芳正教授が長岡氏と親交があることから、「コロッケ学」としての講義が実現した。
長岡氏は「素材をうまく生かし、プロセスを大事にする点は、デザインも料理も共通する」と指摘、見た目は単純に見えても手間ひまをかけて仕上げる重要性を強調した。また、コロッケを「食べ物のジーンズ」と例え、気取ることのない素朴なもてなしができる食材とした。
長岡氏は、明治生まれの母が作ってくれたコロッケの味を忘れられず、十数年前から自分でコロッケを揚げ、コロッケパーティーを開いている。講義では、二種類のコロッケを合計三百個以上揚げ、学生らに振る舞った。
講義を受けた同学部一年、立石大生さん(19)=デザイン情報コース=は「真心を込め、一つ一つの手順を大切にするコロッケづくりがデザインの考案にも通じることが分かった」と話した。
講義終了後、丸谷教授は「高岡コロッケにストーリー性を持たせることで、市民全体でまちおこしにつなげることが重要だ」と述べたうえで、十一月に開かれた「高岡コロッケ博覧会」に出店した屋台のデザインなどで学生が協力できるとの考えを示した。