高岡コロッケ〜夢は揚げたて!富山新聞

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【2007/02/12付】富山新聞掲載

◎社説 〔高岡コロッケ〕 抜群の集客力を生かしたい

 高岡中心市街地の活性化事業に選ばれた「コロッケのまちづくり」は、数ある計画のなかでも、集客力という点で一頭地を抜く。先の「日本海高岡なべ祭り」で、二日間で二万七千個を売った「実力」は高く評価できるだろう。
 活性化事業では、観光客の入り込み数や居住人口の増加などの数値目標を設定するという。現在、三十八項目ある活性化事業は最終的には百近くになる見通しだが、数が多ければよいというものでもあるまい。より高い効果を見込める事業に手厚い予算をつけるなど、メリハリを効かせることも必要だ。
 「コロッケのまちづくり」は、コロッケを高岡の新たな名物として町おこしを図る狙いで、高岡市や高岡商工会議所などが実行委員会をつくり、運動を展開している。先月、JR高岡駅周辺や中心商店街で開かれた日本海高岡なべ祭りには初めて「コロッケ横丁」が登場し、十三店舗が自慢の味を売った。
 スタンプラリーと組み合わせた仕掛けも良かったのだろうが、初日に一万二千個、二日目に一万五千個を売った販売力は驚きである。昔懐かしい素朴なものから、ズワイガニやチョコレートを使った創作ものまで、各店が「名物」にふさわしい味をつくろうと知恵を絞り、新しい味を求める客が押し寄せる光景は、勢いを感じさせた。
 高岡市の中心市街地は長い間、人口減少が続いている。一九九〇年に二万五千人余りだった中心部の人口は、〇五年には二万の大台を割り込んだ。中心市街地のにぎわいの目安となる歩行者通行量も、この三年で一割以上減少した。
 高岡市は居住人口の増加を目指す「まちなか居住支援制度」を新年度に創設し、これも市街地活性化基本計画に盛り込む予定だが、活気のない町に住む人がそう簡単に増えるとは思えない。抜群の集客力を示した高岡コロッケは、中心部に活気を取り戻す仕掛けの柱になる可能性を秘めている。観光面での効果も期待できるだろう。
 とはいえ、高岡コロッケが本当に根付いていくかどうかはこれからの取り組みにかかっている。せっかくの「コロッケのまちづくり」もお題目に終わらないようにしたい。