高岡コロッケ〜夢は揚げたて! 富山新聞

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【2006/06/09付】富山新聞掲載

◎コラム、時鐘 コロッケ

 このごろはやる「昭和三十年代物語」に登場するなら、コロッケは主役は困難としても味のある脇役は十分務まるキャラクターである
▼きのうも、今日も、また明日も、年がら年中コロッケ、と歌ったのは大正時代に誕生した歌だが、戦後の三十年代にもよく耳にした曲である。連日のコロッケ攻めを嘆くようでいて、実はコロッケを口にできるうれしさがにじむ歌だった
▼何しろ、十年ばかり前まで食うや食わずで腹ぺこだった日本人が空腹から解放されたうえに、サクッとした味まで楽しめるようになったのである。戦後復興がいかに素早く、われら日本人がどれだけ努力したかを体現する「準主役級」が、コロッケ君だった
▼その、コロッケを高岡の名物にしようと市をあげて取り組むことになった。商工会議所創立百十周年の行事で市の活性化に役立てる。県民一人当たりのコロッケ消費量が日本一なのが理由の一つだが、総務省の都市別調査(04年)では一位・富山、二位・福井、三位・金沢である
▼北陸が際立つ不思議な統計だ。たかがコロッケ、されどコロッケ。「懐かしい味」ほど新鮮で、かつ、美味なるものはないのである。